今回は幼稚園教諭の休日事情についての話です。
「幼稚園教諭は休日出勤あるの?」
「休日出勤した分の代休ってあるの?」
「休日手当は出るの?」
そんな幼稚園教諭の休日にまつわる「気になる!」が、記事を読み終える頃にはクリアになっているかもしれません。
幼稚園教諭は基本的に「土日祝」が休み
まずは幼稚園教諭の基本的な休日についてお話しますね。
幼稚園教諭の休日ですが、基本はカレンダー通りの休みが年間を通して保障されます。
そのため、ほとんどの園では子どもと同じで土日祝が休みとなります。
また幼稚園は文部科学省が管轄する教育現場になりますので学校現場と同じく長期休みもあります。
長期休みとは「夏休み、冬休み、春休み」のこと。
これは職員がシフトで動いている保育園では見られない、幼稚園ならではの特色のひとつだと言えます。
さらに嬉しいことに、長期休み中の給料は月給の満額いただけることがほとんどです。
なおぞう
まさに至れりつくせり!
まずはこの「基本的には土日祝が休み」ということを覚えてください。
ここを踏まえた上でいよいよ幼稚園教諭の休み事情を深掘りしていきます。
幼稚園教諭は休日出勤ってあるの?
結論から言うと幼稚園教諭に「休日出勤」はあります。
私が勤めていた頃は、年間を通して主に3つの休日出勤がありました。
- 土曜日の預かり保育日直
- 行事準備のための出勤
- 園運営のための打ち合わせ
それぞれ紹介していきますね。
【その1】土曜日の預かり保育日直のための休日出勤
私が勤務していた当時は、幼稚園で毎月第1・第3・第5土曜日に預かり保育を行っていました。
どうしても子どもを預けなければならない理由がある保護者に対応するためです。
土曜日の預かり保育日直は、各クラス担任がローテーションでサイクルを組んでいました。
当時の日直サイクルは2~3ヶ月に1度のペースで回ってきました。
土曜日は幼稚園教諭にとって「休日扱い」でしたよね。
ですので土曜日の預かり保育日直だけで、年間で4~6回程度は休日出勤をしていたことになります。
【その2】行事準備のための休日出勤
幼稚園には年間を通していろいろな行事があります。
おとまり会、運動会、おゆうぎ会、絵画展、クリスマス会、もちつき会、お楽しみ会など、規模の大小問わず行事が盛りだくさんです。
行事の内容は保育園でもほとんど変わりはありません。
数ある行事の中でも年間を通して最も忙しくなるのが「おゆうぎ会のシーズン」です。
園によってはおゆうぎ会のことを「発表会」と呼ぶところもあるのではないでしょうか。
なぜ、おゆうぎ会のシーズンが一番忙しいのでしょうか?
それは、とにかく作り物の準備が多いからです。
どんな作り物かというと、主に人数分の子どもの衣装やステージで使う小道具・大道具です。
ほかにもおゆうぎ内容の台本作りをしたり、企画案を作成したり、保護者向けの手紙を作成したりいろいろな仕事を並行作業でこなしていきます。
▼背景の山の絵、子どもの衣装、かぶりものお面、船、波。全部先生たちが作っています。
行事なので締切があるので、日中の業務時間内で片付けられないことが増えてくるのです。
では、どの時間を削って作り物系の仕事に充てていくと思いますか?
そうです、休日です。
幼稚園教諭は自分たちの貴重な休みを使って、たまった仕事を片付けていきます。
土曜日の預かり保育日直がない先生たちは土曜日に幼稚園に出勤し、大道具などの職場でしかできない仕事を仕上げていくのです。
【その3】園運営のための打ち合わせのため休日出勤
幼稚園では特に大きな行事の企画を考える時に、数人のチームを組んで立案することが多いです。
数人でアイディアを持ち寄り、より質の高い保育を展開するためです。
幼稚園教諭の仕事は日々の保育のほかにも、翌日の保育準備や学年でのカリキュラム打ち合わせ、保護者への連絡帳書きや保育日誌書きなどがあります。
カテゴリー問わず多岐にわたっていることが特徴です。
それらの仕事を並行してこなしながら企画の考案をしなければいけませんので本当に時間がいくらあってもたりないのです。
でも行事の開催日は決まっていますので、行事の開催日(締切)に間に合うようにどこかで調整して時間を捻出しなければなりません。
ということで、仕方なく休日を使うのです。
私が勤めていた幼稚園では、打ち合わせのための休日出勤は主に夏休みや冬休みなどの長期休み中が多かったです。
さすがに普段の土日祝に出勤して打ち合わせを行うことは少なかったですね。
なぜならそれぞれ用事もありますし、プライベートはゆっくりしたいですから。
休日出勤した分って代休取れるの?
次に気になるのが「休日出勤した分って代休が取れるの?」ということです。
これは園によって異なるのですが、幼稚園の場合だと「休日出勤の代休は取れない」ことの方が多いです。
個人的な理由で代休はもらえない
「行事の準備のために休日出勤しました。だから来週の水曜日に代休もらいまーす!」
こんなセリフ、声を大にして言ってみたいですね~笑。
現実はこんなセリフはまず言えません。
園によって代休取得が可能なところがあるかもしれませんが、ほとんどの園では休日出勤の代休なんてありませんし取ることもできません。
そもそも多くの幼稚園にとって日直などの場合を除き、「休日出勤」はあくまで個人の任意として扱われます。
これはつまり「仕事をするためにあなたが勝手に園に出勤したんでしょ?休みの日だから手当はないよ?」ということです。
ですから休日出勤をした先生が「職員は休日も出勤しているんですから、正当に評価をしてください!」と園長に訴えたところで、残念がら反映されることはほとんどありません。
やや厳しい言い方かもしれませんが、これが保育業界の現実です。
園側としては休日出勤は個人が自由に行っているとみなしていますので、手当を出す必要もないし代休を与える必要もないのです。
これが休日出勤の代休がない理由です。
土日祝に行事が行われ子どもが登園する場合のみ、平日に代休が設けられます。
小学校でもある運動会代休やおゆうぎ会代休などですね。
回数は年間で2~3回程度です。
幼稚園特有の体制が有給休暇を取得しづらくしている
「代休がもらえないのなら、有給休暇を使えばいいのでは?」
このように考える人も中にはいるかもしれませんね。
ですが、有給休暇もなかなか使用できません。
これは幼稚園特有の取得しづらさが隠れていたからです。
幼稚園と保育園の違いのひとつに、担任の人数があります。
保育園は子どもの年齢に応じて複数担任制が基本ですが、幼稚園では1人担任が基本です。
そのため担任が有給休暇を使って幼稚園を休むと「一体誰が休んだ担任の代わりにあなたのクラスを見るの?」という話になります。
これがややこしいところで、幼稚園教諭が有給を取得しづらい理由のひとつになっています。
園によっては主任やフリー教諭など手の空いている先生が代理で入ることもあるようですが、保育現場は保育者の人数がギリギリのところが多いので、クラスのフォローは結構大変だったりします。
現場のトップが現役時代の武勇伝を語りだす園は休みづらい
これはクラス担任という役職がある現場はどこもそうなのか分かりませんが、その園のトップが現役時代の武勇伝を語りだすと休みづらくなりますね。
「私が現役の頃は有給休暇なんて使わなかったわ!それくらい責任をもって保育をしていたの。風邪をひいたときは這ってでも仕事していたわ!」
中にはこのように現場上がりの園のトップが武勇伝のように部下たちに語るところもあるのではないでしょうか。
言葉は悪いですが、「そんなの知らんがな!」とツッコミを入れたくなります。
こんな環境だったら、ますます部下たちが休みづらくなりますよ。
「園のトップが組織の足枷になってどーするの?」と言いたいです。
この雰囲気が定着すると「みんなが休まないで頑張っているんだから、私も休まないで頑張らなくちゃ・・・。」という空気が職場全体に流れはじめます。
結果、無理がたたり体調を崩したり、「もうやっていけない・・・」と心を病んで離職を考え始める若手があとを絶えないのです。
幼稚園の場合、まずは園のトップが考え方を変えて、職員が働きやすい環境(つまりは有給を取得しやすい環境)を整えるべきです。
「私たちの頃はこうしてきたのよ!」
そんなことを言うトップは、園を変えていく気持ちがあるのでしょうか。
それとも休めるようになる環境になることに嫉妬しているのでしょうか。
こんな考えはもう古いですよ、終わっています。
いずれにせよ、時代の変化に合わせて園の体制も変えていかないと。
少子化の現代に幼稚園は生き残れませんし、働く職員がかわいそうです。
休日出勤した場合、休日手当はもらえるの?
最後に休日出勤をした時の手当についてです。
お金のことは気になりますよね(笑)
これも園によるのですが、休日手当は出ないことのほうが多いです。
一般の会社では休日手当(残業手当)というものは支給されるのでしょうか?
参考までに私が幼稚園に勤務していた9年間は、園から休日手当(残業手当)が支給されたことは一度もありませんでした。
これから幼稚園教諭を目指すあなたは「休日手当は出たらラッキー」ぐらいに思っていたほうがいいかもしれませんね。
おそらくですが「休日手当が出ない」というのは、私が勤務していた幼稚園に限った話ではないと思います。
休日手当(残業手当)をしっかり支給している幼稚園は、きっと数えられるほどしかないと私は考えています。
では、なぜ休日手当は支給されないのでしょうか。
これは単純に園が人件費に経費を割きたくないからというのが理由でしょう。
要するに経費の節約です。
考えられる背景には「少子化による園児減」、つまり園としての収益が年々減ってきていることが挙げられます。
地方や田舎の幼稚園ほどこの傾向が強いように感じています。
そして幼稚園側の言い分はこうでしょう。
「勤務時間内の給料はしっかり保障している。だが時間外の勤務はそれぞれの任意で行っている(とみなしている)。だから手当は出ないし出す必要もない。」
幼稚園で働く先生たちは「幼稚園教諭」という肩書はあっても、幼稚園という会社組織に属しているサラリーマンに変わりはありません。
これは保育園で働く保育士も同じです。
雇われ人である以上、園の方針に賛同しているとみなされます。
不満や文句があるなら職場を変えるしかありません。
雇われる側の気持ちとしては残業手当はすこしでも欲しいですけどね。
でも幼稚園も少子化社会を生き残るために必死なのです。
また私立幼稚園の場合だと園児減の状況でも何とかして園を存続させていかなければならないし、あなたの雇用も守らなければいけません。
そう考えると、残業手当が仮に出なくても仕事に向かうことができるのでは?
(いや、でもやっぱり残業手当はほしいな。)
ちなみに私の場合ですが、土曜日の預かり保育日直のときも休日手当(残業手当)はありませんでした。これは私が正職員で給料が時給ではなく「月給制」だったからです。
なぜ月給制だと日直手当が支給されなかったと思いますか?それは日直手当の分も基本給に「込み」での月給だったからです。
今日のひとこと
それなりに深く切り込んで幼稚園教諭の休日事情を書いたつもりですが、いかがだったでしょうか。
幼稚園における休日出勤の扱いは、ほとんどの園で「サービス労働」です。手当も当然のように出ないことが多いので、これから幼稚園教諭を目指すあなたにとって参考になれば嬉しいです。
「いかに仕事を溜め込まないでこなしていくか」が仕事効率化のカギになりそうですね。