保育の現場で「危ないからやらせない」が危険な理由

以前、幼稚園教諭が集まる研修会で、ある幼稚園の若い先生がこんなことを言っていました。

 

「鬼ごっこ、私はあんまり保育でやらないんです。」

理由を聞くと、鬼ごっこをすると子ども同士がぶつかったり、転んだりする危険があるからだそうです。

 

「ケガをするから」という理由で遊びをやらせないことが、果たして本当に危険を回避することにつながるのでしょうか。

今回は鬼ごっこを例に話をしていきたいと思います。

 

鬼ごっこをしないと危険は起こらない。でも・・・

確かに鬼ごっこをしなければ、ケガを防げるかもしれません。

危険なことも起きないかもしれません。

 

ですが、これで防ぐことができるケガや危険は、あくまで鬼ごっこをするときに起きる(かもしれない)ケガや危険だけです。

 

保育園や幼稚園は子どもにとっての集団生活の場であり、遊びの場です。

子どもは集団の中で遊び、遊びを通して学びいろいろな経験を深めています。

 

集団で生活している以上、鬼ごっこをしていないときでもケガは起きますし、危険なことも起こります。

 

子どもには転ぶ経験が必要だ

鬼ごっこで子どもが自分でできること

では鬼ごっこにはどんな危険が潜んでいるのでしょうか。

一緒に考えてみましょう。

 

鬼ごっこには「転ぶ」と「ぶつかる」という2つの危険があります。

 

ですが、もしも転んでしまったら、また起き上がればいいのです。

もしも友だちとぶつかって痛い思いをしたら、次からぶつからないようによければいいのです。

 

これは子どもが自分でできることです。

あなたが子どもの立場でもそうすると思いませんか?

 

保育者が子どもに「転ぶ経験をする機会」を与える

保育士や幼稚園教諭という保育現場に携わる保育者は、子どもに転ぶ経験、つまり失敗する経験をどんどん与えるべきだと考えています。

 

鬼ごっこをしなければ、子どもは転びません。

転ばなければ、起き上がることを知らないままに育っていきます。

 

鬼ごっこをしなければ、友だちとぶつかることはありません。

ぶつからなければ、よけることを知らないままに育っていきます。

 

一方で、

 

鬼ごっこをさせたら、子どもは転ぶかもしれません。

転んで周りを走っている友だちに踏まれる前に、子どもは起き上がる必要があります。

 

鬼ごっこをさせたら、友だちとぶつかるかもしれません。

ぶつかって痛い思いをしたくなかったら、子どもは相手をよける必要があります。

 

実際に体験して経験しないと、子どもが気付くことはありません。

どちらのほうが子どもの経験が豊かになると思いますか?

 

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やがて転ばない子どもになる

転ばないように気をつけること、そしてもしも転んだら自分で起き上がることを教えること。

ぶつからないように気をつけること、そしてぶつからないように相手をよけることを教えること。

 

保育者のあなたのつとめは、子どもたちにそんな気付きと経験を与えることです。

大切なのは失敗したり間違ったり転んだりした子どもが、「自分の力」で起き上がることを教えることです。

 

最初はなかなか浸透しないかもしれません。

ですが不思議なもので、根気強く繰り返し指導していくとやがて転んでもすぐに起き上がる雰囲気、相手を自然によける雰囲気ができあがっていきます。

 

まとめ

いかがでしたか?

危ないからやらせないことが、もっと危ないことにつながることがお分かりいただけたと思います。

 

鬼ごっこはひとつのきっかけにすぎません。

鬼ごっこで「起き上がること」「ぶつからないように相手をよけること」を経験した子どもたちは、ほかの場面でも起き上がったりよけたりと応用して遊びます。

 

鬼ごっこに限らず、いろいろな遊びで子どもに「転ぶ経験」をさせていきましょう。